昨年の4月度は消費税率が5%から8%へと引き上げられたことによる消費意欲の落ち込みが顕著でしたが、今年は比較的順調な伸びをみせ48.5ポイントを示しました。消費意向得点が前年を上回ったのは3年ぶりで、20代を除き性別年代別いずれも前年より高い意向となっています。とりわけ「30代52.2p(前月差+3.1p、前年差+6.0p)」や「女性会社員56.0p(前月差+1.4p、前年差+4.5p」が前月比、前年比共に堅調な伸びをみせているのが特徴となっています。
暮らしシーン別注力度の観点からみると、前年と比べ比較的大きく伸びているのは「食費・外食(47.8→50.6p)」「大きな値の張る耐久消費財(27.5→29.0p)」「健康管理74.9→75.9p」で、特に「健康管理」はここ3か月連続で前年クリアしている点、暮らし分野で最も高いスコア水準で推移している点に注目できます。
また、前月と比べて注力度が高まっているのは、「仕事」と「食費・外食」、「地域活動」と「子供の教育」さらにレジャー分野の中でも「観光・行楽」が挙げられ、これらは新年度、春の行楽シーズンという季節要因が考えられます。
消費意向得点の堅調さや暮らしの注力度の回復が前年に比べやや高まっていることを考えると、生活防衛色が緩んだように思えますが、実際の景気回復の実感状況はどうなっているでしょうか。
3月末の景気回復を実感している人はモニター540名中26名(4.8%)で前月度よりやや増加していますが、昨年5月6月ほどの景況回復実感までは届いていません。経済活動は政府・日銀が判断するようにかなり底堅いといえますが、個人消費の回復感は実体経済に遅れて緩やかに回復してくるものと考えられます。
このことは、2か月連続で回復実感を抱いている人(リテンション)の動きをみればわかります。今回のリテンション者は14名と先月に比べ2名増加しており、リテンション率も2.6%と微増しています。しかし、今後安定した景気回復感が軌道に乗るかどうかは、このリテンション率が3%、4%と着実に上昇していくかどうかにかかっており、その足取りはまだまだ鈍いといえます。
景気回復実感者モニター26名の特徴をみると、まず消費意向得点が59.7p(当月全体48.5p、前月65.4p)とかなり高い水準であるものの、今月はほとんど伸びていません。今回も男性の割合が高く、年代としても40代以上の実感者が多くなっています。暮らしシーン別注力度では、「スポーツ・娯楽61.5p(全体43.4p)」「趣味・文化67.3p(同50.4p)」「地域活動54.8p(同37.7p)」といった観光行楽以外のレジャー分野と地域ボランティア活動といった分野が高く、これらが「まだ景気回復が実感できない層」を大きく引き離しています。