5月度の消費意向得点は、4月度に引き続き前年水準を上回り47.3ポイントを示しました。一見好調な伸びを示しているようにみえますが、今年からの趨勢からみれば前月度より1.2ポイントダウンであり、2月末からの上昇基調はストップしています。性別では女性の意欲減退、年代別では30代の減退が顕著です。しかしこうした中にあって「40代・50代の男性」及び「経営者・自営業等のマネジメント層」「無職他」では前月よりも消費意向を高めており、今回の特徴となっています。
暮らしシーン別注力度の観点からみると、前年同月と比べて伸びているのは「食費・外食(48.5p→52.0p)」「子供の教育(69.3p→71.6p)」「大きな値の張る耐久消費財(26.3p→26.9p)」「家族との生活(71.9p→72.4p)」で、このうち「食費・外食」と 「大きな値の張る耐久消費財」は2か月連続で前年クリアしている点に注目できます。消費税率引上げから1年が経過し、耐久消費財の買い控えもようやく薄れ、個人消費もやや明るさを取り戻してきたことがうかがえます。
なお、前月よりも注力度が高まっているのは「食費・外食」「家族との生活」「観光・行楽」「スポーツ・娯楽」で、これらは調査がゴールデンウィーク直前であったことが影響していると考えられます。
消費意向得点が前月と比べ減退していることを考えると、個人消費景気の回復はまだ先であり、生活防衛色は依然強いと考えられますが、実際の景気回復の実感状況はどうでしょうか。
4月末の景気回復を実感している人はモニター522名中22名4.2%で、前月度の4.8%より再び減少しています。マクロの経済活動は政府・日銀が判断するようにかなり底堅いといえますが、個人の生活実感としての景気回復感はまだ弱いとみてよいようです。このことは、2か月連続で回復実感を抱いている人(リテンション)の動きをみるとわかります。今回のリテンション者数は13名と前月から1名減少、リテンション率も2.5%と微減しています。今後安定した景気回復感が軌道に乗るかどうかは、このリテンション率が3%、4%と着実に上昇していくかどうかにかかっており、その足取りはまだまだ鈍いといえます。
景気回復実感者22名の特徴をみると、まず消費意向得点が58.4p(当月全体47.3p、前月59.7p)とかなり高い水準であるものの、今月は減退しており、年代別では30代の実感者が大きく後退しています。暮らしシーン別注力度では「仕事73.9p(全体59.0p)」「食費・外食65.9p(同52.0p)」、「観光・行楽67.0p(同53.7p)」「大きな値の張る耐久消費財39.8p(同26.9p)」といった分野に対する注力度が高く、景気回復がまだ実感できない層を大きく引き離しています。