消費意向得点は前月、前々月と前年度割れをみせ盛り上がりを欠きましたが、8月度は前年比、前月比共に増加し、49.6ポイントとここ1年半弱の間で最高値を示しました。年代的には4か月間順調に伸びてきた50代以上層が落ち込む一方で、他の年代層が一律に増加しており、とりわけ20代の伸びが著しいことが特徴となっています。また職業別では女性会社員が58.9ポイントと驚異的な上昇度で他を圧して消費意欲を見せていることも今月の特徴となっています。
しかし、暮らしシーン別注力度の観点からみると、前年に比べ注力度が伸びているのは「子供の教育(70.4p→72.8p)」「貯蓄(62.8p→63.4p)」「大きな値の張る耐久消費財(28.6p→29.1p)」の3分野にとどまり、他の分野は前年水準には達していません。7月末時点ではボーナスも出たこともあり、長らく辛抱してきた耐久財の買い替えや、夏休み突入の子供に対する教育関係へ注力度が高まったと考えられます。また、前月からは「食費・外食(48.0p→51.0p)」「観光・行楽(50.3p→55.3p)」なども大きく高まってはいますが前年水準には届いておらず、この2分野の増加は夏特有の季節変動要因によるものとみられます。
では夏の需要期において、その景気回復は実際どの程度の回復感がもたれているのでしょうか。景気回復を実感している人は563名中31名(5.5%)で、前月度の5.6%とほとんど変化はみられません。実感者の年代的な特徴は前月度大幅に減少した50代以上が再び多くなっており、代わって40代が減少している点にあります。全体の年代構成からみても、景気回復実感を指摘する層は40、50代の層に特化していることが特徴です。
景気回復実感者の割合はここ3か月間は5~6%で停滞していますが、それが景気後退をさしているものでないことは、2か月連続で回復実感を抱いている人(リテンション)の動きをみるとわかります。今回のリテンション者は17名と前月に比べ2名減少しているものの、リテンション率は3.0%と昨年同月ほどの落ち込みではありません。景気回復実感者およびリテンションが大きな落ち込みもなく前月度とほぼ同じ水準で推移しているため、今のところ安定した回復基調を示しているといえるでしょう。
例年9月度の消費意向度は必ず季節変動要因として落ち込むわけですが、今年はどこまでで止まることができるか、景気回復実感者、リテンション率の動向がどう向上するかが本格的な景気回復のポイントとなるでしょう。