この時期の消費意向は年末需要に向けて大きく伸びを見せるのが通例ですが、今年は上向きを示してはいるものの、昨年の50ポイント超えには至らず、46.2ポイントに留まっています。11月度には前年度水準に近づきはしたものの、再び力強さを欠き、昨年ほどの伸びは見られませんでした。
これを属性別で見ると、前月から大きく上昇したのは年代別では30代、職業別では女性会社員や無職となっています。これらの層が伸びているにも関わらず、全体で伸びが鈍化しているのは、20代、パート、専業主婦層が停滞落ち込んでいるためです。
暮らしシーン別注力度を見ると、前年に比べ注力を高めているのは「仕事」のみで、他の暮らし分野は全て前年水準に至っていません。前月好調であった「子供の教育」は前年よりも2.2ポイント低く、注力度が落ちています。同様に、前月好調だった「大きな値の張る耐久消費財」も肝心の年末需要の盛り上がりは見られず、前年度水準を切っています。
前年に及ばずとも、季節要因として前月よりも注力が強まっているのは「人づきあい」「食費・外食」「貯蓄」です。大きく縮小しているは、レジャー部門、とりわけ「スポーツ・娯楽」が挙げられます。年末期を迎え、仕事への傾斜、人づきあいや外食機会の増加、そしてレジャーを抑えつつ貯蓄への心がけも忘れない、といった12月の生活実感が読み取れます。
こうした状況の中で、生活者の景気回復の実感はどのように変化してきているでしょうか。今回の景気回復実感者は478名中23名(4.8%)と人数も実感者比率も増加しています。前年同時期の6%水準に至らずとも、春先からの停滞状況から抜け出した感があります。しかし、これを2か月連続で回復実感を抱いている人(リテンション)の動きによって確認してみると、この回復感がまだまだ本物でないことがうかがえます。リテンションの考え方は変動に対する短期的な安定性をみるのに適しており、今回のリテンション者は10名と、1名増えただけとなっています。5%近くの実感者率になったといって必ずしも安定した景気回復感を持った人ばかりではないことに注意しなければなりません。リテンション率が安定して高比率を続けるようになるまではまだまだ景気回復は遠いとみたほうがよいでしょう。